数珠は、葬儀や法事など、弔事に欠かせないアイテムです。大人になれば一つは持っていたいものですが、どのような数珠を選べば良いのかわからないという人もいるでしょう。数珠の購入を検討している人に向けて、自分に合った数珠の選び方と購入の際の注意点について、詳しく解説します。
数珠の歴史
数珠といえば、仏教というイメージがあります。数珠は仏教の発祥であるインドで誕生しましたが、実は、仏教よりもその歴史は古いといわれています。古代インドのヒンドゥー教で、御祈りを唱えた回数を数えるためのアイテムとして使用されていた数珠が、仏教にも伝わったと考えられているのです。
数珠は、その字の通り「数を数えるための珠」としての役割も持ちますが、同時に「仏様との繋がりを示すためのアイテム」としての役割も持ちます。仏教徒であればもちろん、仏教徒でない人でも、葬儀や法事といった仏教式の弔事に参列する際には、必ず数珠を持参しましょう。
数珠の種類
数珠には、仏教の宗派ごとに使用される数珠と、一般的に使用される数珠の2種類存在します。それぞれの違いをみてみましょう。
正式念珠
仏教の宗派ごとにわかれて使用される本格的な数珠を、「正式念珠(本式念珠)」といいます。煩悩の数と同じ108個の珠を使用した長い数珠で、二重にて手使用されることが多いです。
天台宗や真言宗、浄土宗や日蓮宗と、仏教は宗派によってわかれます。それぞれ正式念珠のデザインは異なるので、仏教徒である人は、自身が所属している宗派に合わせて数珠を用意してください。
略式念珠
宗派を問わずに使用できるのが、「略式念珠(片手念珠)」です。正式念珠よりも珠数が少なく短いタイプの数珠で、仏教式の葬儀や法事でよく見かけるのが、略式念珠です。
略式念珠は、仏教のどの宗派にも対応できます。仏教徒だというわけではないけど、仏教式の弔事に参列する機会があるという人は、略式念珠を用意しましょう。略式念珠なら、どの宗派の弔事で使用してもマナー違反になることはないので、安心してください。
数珠の選び方
数珠にはさまざまなタイプが存在しますが、自分に合った数珠を選ぶには、どのようなポイントをチェックすれば良いのでしょうか。
①男性用・女性用で選ぶ
数珠を選ぶ際には、まずは男性用か女性用かを選ぶ必要があります。男性用は珠のサイズが大きく、女性用は珠のサイズが小さいという特徴があります。また、男性用はシックなデザインの数珠が多く、女性用はカラーバリエーションが豊富です。男性用は男性の大きな手に合うように、女性用は女性の小さな手に合うように作られているので、性別に合わせて選ぶと良いでしょう。
②価格帯で選ぶ
数珠は、素材によって価格が大きく異なります。ガラスやプラスチック製であれば数千円で購入できますが、高級木材や希少な天然石を使用しているような数珠は、数万円から数十万円で販売されていることもあるのです。
数珠を購入する際には、まずは「1~3万円」といった具合に予算を決めておくことをおすすめします。
③デザインで選ぶ
価格帯が決まったら、その中から好みに合った数珠を選びましょう。デザインに関しては、特に注意しなければならないマナーは存在しません。素材や色合い、珠のデザインなど自由に選べるので、好みに合わせて最適な数珠を選んでください。
数珠を購入する際の注意点
基本的に、どのような数珠を選んでもマナー違反になることはありません。しかし、地域によっては独自のマナーも存在します。
例えば、東海地方や北陸地方では、色のついた数珠は法事やお墓参りに用いられますが、葬儀では、水晶や白珊瑚といった色のついていない数珠が用いられます。このように、地域によっては使い分けが必要となるので、数珠を購入する際には、自身がお住いの地域の慣習も考慮して購入してください。